世界的ピアニスト、アルゲリッチ 「こういう時だからこそ」と 別府で音楽祭を開催。

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今年で第18回を迎える「別府アルゲリッチ音楽祭」は2016年5月1日~26日まで別府市や大分市の会場等で開催する。熊本地震の影響で一時開催が危ぶまれたが、予定通り開催することが決定した。
開催決定の経緯やその想いについて、アルゲリッチ芸術振興財団の広報担当、松村さんにお話を伺った。
(取材日:2016年4月27日)

「こういう時だからこそ何かしたい」
アルゲリッチ自身が来県を希望

記者:「別府アルゲリッチ音楽祭」開催決定の経緯についてお聞かせください。

松村さん:大分も余震が続いていましたが、この数日間落ち着いていて、別府市はほとんどの方が普通に生活しているんですね。観光業の方も、スーパーマーケットの方も、地域の商店の方も。
そうした中、アルゲリッチ芸術振興財団としては「開催する」と決めました。
よほど大きな地震やアーティストが病気で来られないということがないかぎり開催します。
なにより、アルゲリッチ総監督自身、地震が起きてすぐ「こういう時だからこそ何かできないでしょうか」と、地震には全く屈せずに当財団のプロデューサーへメッセージを伝えたのが大きかったです。
本当にこれはありがたいことで…そもそも別府に来てくださること自体がとてもありがたいことなのに「こういう時だからこそ」と来県を希望してくださりました。
そのため私たちは現在全力で準備を進めており、5月1日からアルゲリッチ音楽祭がスタートします。
会場は当初のビーコンプラザ国際会議室から、より広いコンベンションホールへ変更しています。大きなホールになったので、より多くの方に来て頂けるかと思います。
会場が変わったくらいで、その他は予定通り行うよう進めています。

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アルゲリッチの
別府への特別な想い

記者:アルゲリッチは、この別府での取り組みを特別なものと考えているのでしょうか?

松村さん:華やかな音楽祭のようにも見えるかとは思いますが、実は子供の教育のためにも通年でコンサートなどを開催させて頂いているんですね。
彼女はそういう理念を持ってらっしゃる方なので、ヨーロッパやアメリカなど世界中を周っていますが、商業的なツアーやコンサートとは別なものであると思ってもらっていると確信しています。
アルゲリッチが大分に来県するのは、プレを含めると21年になり、今回で音楽祭は18回目になります。過去のインタビューでは、「別府アルゲリッチ音楽祭が自分のライフワークになっている」とも話しています。
彼女は世界的なピアニストで、毎年、別府に来て頂いていること自体が奇跡的なことなんですね。

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©Rikimaru Hotta

アルゲリッチの演奏を
広間で間近に。
特別なコンサート

記者:別府アルゲリッチ音楽祭の見どころについてお聞かせください。

松村さん:昨年5月、多くの方にご寄付を頂いて「しいきアルゲリッチハウス」が完成しました。
しいきアルゲリッチハウスは特別なハウスで、アルゲリッチのためのサロンとなっています。特に今回5月23日のコンサートではこのハウスで、アルゲリッチが専用のピアノ「マルティータ」を用いて演奏します。こうした取り組みは、おそらく世界中を探してもここだけです。
なおかつ、ハウスはフラットな設えで、おうちの広間で聞くような雰囲気です。間近にアルゲリッチの音楽を体験できるので、これは本当に「特別な」コンサートです。
楽曲は「夜のガスパール」。彼女が日本で公の場で演奏するのは40年ぶりくらいなんですね。ソロ自体もリサイタルという形ではずっと行っていなかったので、それも数十年ぶりかと思います。
この他にも、開催期間中の5月1日~26日まで、数々の催しを行います。

「頑張って」「成功させてね」
たくさんの応援と励まし

記者:熊本地震に関連する問い合わせは多いですか?

松村さん:あります。県外の方にとっては「熊本・大分」という地震のイメージを持たれる方が多いですね。もちろんお客様の安全第一だと思いますので、安心かどうかを判断されて、いらっしゃって頂ければと考えています。
私たちの大分県は、「おんせん県おおいた」とも言っているように、温泉もあり、食もあり、芸術文化もあります。
大分県は観光業が盛んなので、早々にみんなが地震以前の状態を取り戻そうと頑張っています。そういった意味では、たくさんの励ましの言葉を頂いています。国内外に情報を発信する音楽祭なので、これが開催されなかったとなれば、それこそ全てが暗い話題になったり、風評被害に繋がってしまうと思います。だからこそ、たくさんの方から「頑張ってね」「成功させてね」という声を頂いているんです。

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